計算はできるのに、文章題になると手が止まる
計算ドリルはスラスラ解いている。
ところが文章題になると、突然鉛筆が止まってしまう。
しばらく考えたあと、
「これ、足し算?」
と聞いてくる。
そんなとき、
「ちゃんと問題を読みなさい」
と言いたくなりますよね。
でも、何度言っても変わらない。
小学校3年生から6年生くらいの保護者の方から、よくいただく相談です。
「国語力が足りないのかな」
「もっと本を読ませたほうがいいのかな」
と心配になる方もいると思います。
ただ、教室で文章題が苦手な子を見ていると、単純に「読解力がないから」とは言い切れません。
文章題には、計算とは別のところでつまずいている子がかなりいます。
算数の文章題では、計算する前に4つの作業があります
文章題では、答えを出すまでにいくつもの作業が必要です。
問題文を読む。
どんな場面なのか理解する。
何を求めるのか考える。
それを式にする。
そして、ようやく計算します。
計算問題なら、ほぼ最後の「計算する」だけで済みます。
「計算ができる」と「文章題ができる」は、同じではありません。
ですから、文章題ができないからといって、すぐに「算数が苦手」と考える必要もありません。
大切なのは、どこで止まっているのかを見ることです。
算数の文章題が苦手な子に多い5つの共通点
① 問題文を最後まで読まず、数字だけを見ている
文章題を見ると、まず数字を探します。
「12と4があるから、12+4かな」
という具合です。
数字を見つけた瞬間に計算を始めてしまい、問題文の最後まで読んでいません。
こういう子は、読む力が低いというより、
「文章題とは、書いてある数字を使って計算するもの」
と思っていることがあります。
そのため、数字が2つ出てくれば、とりあえず足したり引いたりします。
② 「何を聞かれているのか」がわかっていない
文章は読んでいる。
数字もわかっている。
それでも式が立たない。
そんなときは、
「何を答えればいいの?」
が整理できていないことがあります。
「全部で何個あるのか」
「あと何個必要なのか」
「1人分はいくつなのか」
聞かれていることが違えば、当然、使う計算も変わります。
文章題で止まったら、式を考える前に、
「この問題では何を聞かれている?」
と聞いてみると、つまずきが見えてきます。
③ 問題の場面を頭の中でイメージできていない
例えば、
「5人に3個ずつお菓子を配ります」
と書いてある。
大人なら、5人の前に3個ずつお菓子が並んでいる様子をなんとなく想像できます。
ところが、文章題が苦手な子の中には、文章をただ文字として追っているだけの子がいます。
「5人」「3個」という数字は見えていても、
実際に何が起きているのかが頭の中でつながっていません。
こういう場合は、絵や簡単な図をかくだけで、急に式が立つことがあります。
④ 足す・引く・かける・割るの意味があいまい
九九はできる。
割り算の筆算もできる。
でも、
「なぜ、この問題はかけ算なの?」
と聞くと説明できない。
教室でもよく見つかるつまずきです。
例えば、
「3個ずつ入った袋が5袋あります」
なら、
3個が5組ある。
だから、
3×5。
計算方法だけ覚えていて、どんな場面でその計算を使うのかがつながっていないと、文章題になると途端にわからなくなります。
⑤ わからないと、すぐ「これ何算?」と聞いてしまう
これもよくあります。
問題を少し読んだところで、
「先生、これ何算?」
と聞いてくる。
ここで、
「割り算」
と教えれば、その問題は解けます。
ただ、それを繰り返していると、自分で考える経験が増えません。
「何がわかっているのか」
「何を求めるのか」
「では、どんな計算が必要なのか」
そこを自分で整理することが、文章題では大切です。
実際にあった、ある小学5年生の場合
以前、計算テストはほぼ満点なのに、文章題になると空欄が増えてしまう小学5年生がいました。
計算そのものは問題ありません。
でも、
「この問題、何を求めるの?」
と聞くと、うまく答えられませんでした。
そこで、文章題を読んだあとに、問題の場面を簡単な絵にかいてもらうようにしました。
すると、不思議なくらい式が立つようになりました。
この子は、文章そのものが読めなかったわけではありません。
文章から場面を作るところで止まっていたのです。
文章題が苦手といっても、原因は子どもによって違います。
文章題は「たくさん解く」前に、どこで止まっているかを見る
文章題が苦手だと、
「もっと文章題をたくさん解かせよう」
と考えたくなります。
もちろん練習は必要です。
ただ、同じところでつまずいたまま問題数だけ増やしても、同じ間違いを繰り返すことになります。
文章題が苦手なら、問題数を増やす前に「どこで止まっているのか」を見つけることが先です。
文章題で手が止まったら、こんなふうに聞いてみてください。
この問題、何の話?
わかっていることは何?
何を聞かれている?
絵にするとどうなる?
どうしてその式にしたの?
全部聞く必要はありません。
どこで答えに詰まるかを見るだけでも、原因がわかりやすくなります。
家庭では、答えを教えるより「説明させる」
子どもがなかなか解けないと、
「これは割り算でしょ」
「ちゃんと読んで」
「さっきも同じ問題やったでしょ」
と言いたくなります。
私も教えていると、言いたくなることはあります。
ただ、「ちゃんと読んで」は、読んでもわからない子にとっては方法になっていません。
代わりに、
「これ、どういう問題なの?」
と聞いてみてください。
子どもが自分の言葉で説明できれば、問題の意味はある程度理解できています。
逆に説明できなければ、計算より前のところで止まっています。
今日から家庭でやるなら、たくさん文章題を解かせる必要はありません。
1日1問でいいので、「なぜその式にしたの?」と聞いてみてください。
答えが合っているかだけではなく、そこまでの考え方を見る。
それだけでも文章題の練習は変わってきます。
文章題が苦手だからといって、計算練習を増やせばいいとは限りません
計算ができるのに文章題ができない子に、さらに計算ドリルを増やしても、なかなか改善しません。
必要なのは、
読む。
場面を考える。
何を求めるか整理する。
式にする。
という部分の練習です。
文章題が苦手なときは、「何問できなかったか」より「どこで止まったか」を見てあげてください。
そこがわかれば、やるべき練習も見えてきます。
【家スタ!】でも「どこでつまずいているか」を見ています
家庭学習では、どうしても
「プリントをやった」
「答え合わせをした」
で終わりやすくなります。
でも、本当に大切なのは、間違えたときに、
「なぜ間違えたのか」
を見ることです。
【家スタ!】でも、提出してもらったプリントを確認しながら、単に○×を見るだけではなく、どんなところでつまずいているのかを意識して学習をサポートしています。
家庭での勉強を続けながら、学習の進み方も見てほしいという方は、【家スタ!】のページもご覧ください。
