「テスト前になると急にやる気を出すんですよね」
保護者の方からこんなお話をよくいただきます。
一見、悪いことではないように聞こえます。
でも、テストが終わると元通り。
次のテストまでの間、また勉強しない日々が続く。
そして次のテストでも、同じことを繰り返す。
このパターンを続けている子が、なかなか伸びないのには明確な理由があります。
テスト前の詰め込みは「記憶」ではなく「一時保存」
テスト直前に集中して勉強すると、一時的に点数が上がることがあります。
ところが、それは本当の意味で「覚えた」状態ではありません。
短期記憶に詰め込んだだけで、テストが終わると同時に忘れていくのです。
人間の記憶は、何度も繰り返すことで定着します。
一夜漬けで覚えた内容は、1週間後には大半が抜け落ちています。
つまりテスト前だけ頑張る勉強は、点数をとるための「その場しのぎ」にはなっても、学力そのものを積み上げることにはならないのです。
積み上げ型の教科では特にダメージが大きい
算数・数学は、前の単元が理解できていないと次の単元に進めない教科です。
小学校の分数があやふやなまま中学に進むと、文字式でつまずきます。
文字式がわからないまま進むと、方程式が解けません。
テスト前だけの勉強では、こうした「積み残し」がどんどん蓄積されていきます。
一時的に点数が取れていても、学年が上がるにつれて急に成績が落ちる子は少なくありません。
「急に落ちた」のではなく、じわじわと積み残してきたものが、ある時点で一気に表面化するのです。
「やる気がある子」と「伸びる子」は別物
テスト前に頑張れる子は、やる気がないわけではありません。
むしろ、「やるべきときにやれる」という意味では、素直で真面目な子が多いです。
ただ、やる気があることと、学力が伸びることは別の話です。
伸びる子に共通しているのは、やる気の有無にかかわらず、毎日少しずつ続けられる習慣を持っていることです。
気合いで乗り切る勉強と、習慣として積み上げる勉強。
同じ時間をかけても、半年後・1年後の差は大きく開きます。
普段の学習習慣はどうやって作るか

「習慣にしましょう」と言うのは簡単ですが、実際にはなかなか難しいものです。
ポイントは、量より「毎日続けること」を最優先にすることです。
最初は1日10分でも構いません。
宿題が終わったあとに5問だけ復習する、それだけでも立派な習慣の第一歩です。
大切なのは、「勉強する日」と「しない日」の差をなくすことです。
毎日少しずつ触れることで、記憶は定着し、苦手な箇所にも早めに気づけます。
テスト前の追い込みより、テスト後も続ける10分のほうが、子どもの学力をずっと底上げします。
保護者にできる、たったひとつのこと
習慣づくりで保護者の方に意識していただきたいのは、「勉強しなさい」より「今日は何をやった?」という声かけです。
内容を問うことで、子ども自身が「毎日何かやらなければ」という意識を持ちやすくなります。
また、短時間でも勉強できた日は、小さくても認めてあげてください。
子どもにとって、保護者に気づいてもらえることが、習慣を続ける一番の力になります。
テスト前だけ頑張る子を責める必要はありません。
ただ、テスト前以外の日常に、少しだけ目を向けてみてください。
そこに手を入れることが、お子さんの学力を本当の意味で伸ばすことにつながります。
