「今日の授業、わかった?」
そう聞くと、お子さんは「うん、わかった」と答える。
でも次のテストを見ると、なぜかできていない。
こんな経験、一度や二度はあるのではないでしょうか。
実はこの「なんとなくわかった」という感覚、子どもの学力向上において非常に厄介な落とし穴なのです。
「わかる」には段階がある
学習において「わかる」という状態には、いくつかの段階があります。
まず最初の段階が「聞いたことある」「見たことある」というレベルです。
そして次が「説明を聞けば理解できる」というレベル。
そのさらに上が「自分で解ける」というレベル。
最終的に目指したいのは「人に説明できる」というレベルです。
「なんとなくわかった」という感覚は、ほとんどの場合、最初の段階か二番目の段階にとどまっています。
つまり授業では理解できたつもりでも、自力では解けない状態なのです。
なぜ「なんとなく」が積み重なると危険なのか
小学校の算数を例にしてみましょう。
分数のたし算を「なんとなく」理解したまま進むと、分数のかけ算でつまずきます。
分数のかけ算を「なんとなく」のまま進むと、中学の文字式でわからなくなります。
「なんとなく」は積み重なると、あとから崩れる土台になってしまうのです。
特に算数・数学は積み上げ型の教科です。
前の単元の理解があやふやなままでは、次の単元はほぼ必ずつまずきます。
「うちの子、急に算数ができなくなった」という相談をよくいただきますが、多くの場合、もっと前の段階に「なんとなくわかった」のまま放置してしまった箇所があります。
「なんとなく」のままにしてしまう理由

子ども自身も、「わかっていない」と自覚していない場合がほとんどです。
授業中に先生の説明を聞いて「そういうことか」と感じる。
その「わかった感」は本物の感覚です。
問題は、「聞けばわかる」と「自分でできる」の間には大きなギャップがあることを、子ども自身が知らないという点です。
また、保護者の方も「わかった」と言われれば安心してしまいますよね。
その言葉を疑うのは、なんとなく悪いことのようにも感じるものです。
でも、安心してしまうことが、むしろ子どもの「気づき」を遅らせてしまうことがあります。
「本当にわかった」を確かめる方法
家庭で手軽にできる確認方法を一つ紹介します。
それは「じゃあお母さん(お父さん)に説明してみて」と頼むことです。
本当に理解できていれば、子どもはたどたどしくても言葉にできます。
言葉にできないなら、「わかった気になっているだけ」という可能性が高いです。
このとき大切なのは、できなくても叱らないことです。
「うまく説明できなかったね。じゃあもう一回見てみよう」と一緒に確認する姿勢が、子どもの学習習慣を育てます。
「なんとなく」を見抜く目を持つことが、保護者の最大の役割
子どもが「わかった」と言うたびに疑ってほしい、というわけではありません。
ただ、「子どもの言葉を信じる」と「子どもの理解を確かめる」は、別のことです。
信じながらも確認する。それが子どもの学力を守る保護者の視点です。
「なんとなくわかった」が積み重なると、ある日突然「わからない」の壁が現れます。
逆に言えば、早い段階で「なんとなく」をひとつひとつつぶしていけば、その壁は現れにくくなります。
お子さんの「わかった」のうしろに、もう少し目を向けてみてください。
それが、見えない積み上げを支えることになります。
