2020年より、小学校でも英語が教科となりましたね。
小学5年からは成績もつくようになりました。
それに伴って「自宅でも英語を勉強させなければ」と感じる小学生の保護者の方も多いかと思います。
ただ、実際に英語を自宅で勉強させるとなると、実は非常に難しかったりします。
保護者の方が小学生の時は英語なんて教科なかったですからね。
「いつから始めたらいいか」「何をやったらいいか」について悩んでいる保護者の方も多いはずです。
そこで今回は「学習塾の塾長」という立場から自宅で小学生が英語を勉強するときのポイントについてアドバイスしていきたいと思います。
と、その前に、
ここから先はごく普通の小学生向けに書いていきます。
ごく普通の小学生とは、そこらへんの小学生です。
「うちは将来外交官を目指しますから」
「海外でバリバリ働きたい」
「英語がペラペラになりたい」
もちろん普通の小学生もそう考える子はいると思いますが、とにかく「これからはなんとしても英語をうまく使いこなせなければっ」とお考えの保護者の方は、他のサイトをあたってください。
ググればたくさん出てきますから。
ここでの対象はあくまでも「中学校で英語で困らなければいいなー」という方向けの内容となっています。
小学生が自宅で英語を勉強するのが困難な理由とは
理由その1:読めない
もうそれを言ってしまえば、他に書くことがなくなってしまうのですが笑
アルファベットを見ても、読めないんですよ。これって、勉強する上で非常にやる気を削ぎます。
大人だって、例えばテキストを開いていきなり
أريد أن آكل أودون لتناول طعام الغداء اليوم.
なんていう言葉が目に飛び込んできたら、
「は?」
ってなりませんか?これ見て、
「わ~、一体なんて書いているんだろう?調べてみよっと」
となりますか?
それと同じです。
自宅で小学生がを自分の力で英語の勉強していけということがそもそも難しいわけで。
たしかに丁寧な問題集には読み方は書いています。
「アイ ウォント トゥ イート ウドン」
でもそれは読み方がわかっただけで、決して中身がわかったわけではありません。
「へー、『私はウドンが食べたい』ってこういうんだー」
といった感想しか持たないわけです。
それ以上でもそれ以下でもない。
こんな勉強が長続きするとは思えません。
理由その2:適した教材がない
職業柄、小中学生の教材については他の人よりもアンテナを貼っている方だと思います。
小学校に英語が導入されると聞いてからは書店や塾の教材を色々と探してみたのですが、なんか一つピンとこない。
日常会話の表現を紹介しているだけとか、
中学校でも使わないような単語を紹介しているだけとか
系統立てて構成されていないとか
作る方も非常に試行錯誤しているのがわかります。
例えば
最初の単元で
「I am TOM.」
を習ったとしますよね?
「ほほー、これが『私はトムです』か。」と。
「『I』が私で、『am』がです、なんだな。オッケー」と。
次のページを見ると
「I like Udon.」
「ほほー、これが『私はウドンが好きです』か。 『I』が私で、『like』が好き、ん?
『です』はどれや?」
となるんです。
隣に誰かいてくれれば簡単に説明してくれるんでしょうが、自宅で一人で英語を勉強している小学生にとってはハードルが高くないですか?
そうした子どもたちの疑問を丁寧に解決してくれるような教材が出揃っていません。
まあ、その理由もわかります。
なぜなら、小学校の英語の指導の目的は学習指導要領によると、
「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力」
にあるからです。
どちらかといえば、コミュニケーションを図る基礎の習得を目標としているわけですから、文法的なことは後回しとなっているわけです。
でもですね、子どもたちを舐めちゃいけません。
彼らは大人たちが思っている以上に、論理的だったりします。
納得がいかないと進めない子達も大勢いるんです。
意味のわからないまま、学習を進めることは難しかったりします。
理由その3:学習目標が不明瞭
自宅で小学生が勉強に取り組む大きな理由の一つとして
「親に叱ら…」
あ、ちがった
「算数や国語のテストでいい点数を取りたいから」
というのがあると思うんです。
自宅で小学生が英語に取り組んだ場合、勉強した内容がすぐに学校のテストに反映するとは限らないわけです。
色々な教材が出ていますが、学校の内容に則したものは少なく、きちんと勉強したことが理解できているかどうかははっきりわかりません。
力がついているかどうかわからない、周りもわからないから評価できないし、褒めてあげることすらできない。
そんな勉強を続けることは小学生にとっては難しかったりします。
自宅学習で小学生が英語を勉強するには?
上記の理由から、自宅用の小学生の英語教材を選ぶのは難しかったりするのですが、もしが選ばなければならないとしたら、次の点に気をつけて選んでほしいと思います
子どもの負担が少ない教材を
もし、集中して勉強させたいのであれば、「分からない」「読めない」といった負担が少ない教材がおすすめです。
そうなると、「読み」「書き」「聞く」「話す」といった勉強ができる「タブレット教材」がぴったりです。
タブレット教材は端末にタッチしながら、視覚・聴覚を使って学べるので、自宅学習で勉強するにも保護者の手を煩わせる心配がありません。
デメリットといえば費用がかかること。
ですが教材によってはオンラインで指導を受けたり、発音をなどをチェックしてくれる教材もありますのでいろいろ調べてみてはいかがでしょうか。
中学進学を見据えた教材選び
学習塾の立場からあえて言わせてもらいますが、もし自宅学習で小学生に勉強してもらうのであれば、「英語の文法」をしっかりと学ぶことができる教材を選んでほしいと思います。
そのあたりの理由についてはこちらで紹介しています。
たしかに、学校みたいなところで、人に英語を教わるのであれば、コミュニケーション重視の英語もいいでしょう。
なんか言われても、とりあえず、身振り手振りでなんとか通用したりしますから。
でも、さっきも言ったように、勉強ってある程度理屈が通っていなければ先に進めません。
「なんで?」
という疑問にきちんと理由があって、それに納得するから勉強って先に進めるわけで。
そうなってくると、自宅で自分で英語を勉強するのであれば、系統立てて勉強できる教材が結局はいいと思います。
中学校に上がったときのことを考えて、文法をしっかりと勉強できる教材を選んでほしいと思います。
自宅で気軽に英語を勉強するならアプリも
「小学生のうちはまだそこまで英語の勉強を考えていない」
「英語の勉強が続くかどうかわからないので、試しにやってみたい」
と、気軽に英語学習をするなら、タブレットやパソコンなどのアプリの教材も選択肢の一つとして選んでもいいでしょう。
教育アプリはインプットした知識を、その場ですぐにアウトプットできる学習が多く、ゲーム感覚で勉強できるので、まずはこうしたアプリを使って、英語に対する興味や関心を高めてから、本格的な勉強にステップアップしていく、そういった勉強も可能です。
自宅で英語を勉強するなら子どものペースを大切に
2021年度の学力状況調査では、小学6年生に「英語の学習(勉強)が好きですか?」と質問したところ、「そう思わない」「どちらかといえば、そう思わない」と答えた児童が31.5%もいたそうです。これは前回調査したときと比べ、約8ポイントも増加しており、小学生のうちから「英語嫌い」が増えている傾向になります。
中学校に上がる前に「英語嫌い」にならないよう、子どもの興味や関心に合わせて、ゆっくりと英語の勉強をスタートさせてみてはいかがでしょうか。